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2018年英国版 無実はさいなむ…いやそれはどうなのか? [テレビ]

2018年に英国でドラマ化された「無実はさいなむ」…ネットの評判は上々のようだが個人的には許せないレベルの作品。

何気に見つけたBS放送の2018年英国版のクリスティーシリーズ、最初の「検察側の証人」は前編を見逃したが後編は録画して見ることが出来た。相当改編しているがまぁそこそこ面白かったので、「無実はさいなむ」はミスマープル版でドラマ化されたのを見たばかりであったが録画してみてみた。雰囲気たっぷりでまるで横溝正史のドラマみたい、1話2話を見た限りでは相当改編が多くやたらもったいぶった所が気になるがまぁ悪くはないかな。と思っていたら最終話の3話でとんでもない改編が。
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いや被害者を変更するのはギリギリ許せるとしても犯人を変えてしまうのはどうなのか?そして何よりも許せないのはこの作品の一番のポイントであるトリックを全て無くしてしまったこと…いや最大のサプライズを無くしてただの2時間ドラマにしてしまうのは原作に対する冒涜ではないのか。クリスティのサプライズを超えられるとでも思っていたのだろうか。

内容的にはダメダメなドラマであったが唯一の救いは家族の1人を演じたエラ・パーネルと言う女優さんがやたら可愛かったこと。
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調べて見たらまだ22歳で「キックアス」とかにも出ているがまだまだ端役が多い、今後が楽しみな女優さんではある。



と言う事でネタバレ無しで書こうと思ったがあまりにも酷い改編なので怒りの余り書いてしまおう。







<以下、原作とドラマ版のネタバレ含む>







元々の原作としては一家の鼻つまみ者が母親殺しの容疑で逮捕されるが彼はヒッチハイクして車に乗せて貰ったとアリバイを主張する。しかし彼を乗せたドライバーがどうしても見つからず嘘と判断されて有罪となり処刑される。しかしその後、彼を乗せたドライバーが現れ彼の無罪が立証される。しかし彼が無罪という事は家族内に別の真犯人がいると言うことになり、彼の無実により残された家族が苛まれることとなる…と言うのが原作、ドラマ版共通のストーリー。

原作では実は本当の真犯人はやっぱり処刑された鼻つまみ者の息子で、ヒッチハイクによるアリバイは彼が工作して用意したものだった。折角アリバイ工作をして殺人を犯したのにそれが活かされること無く処刑されてしまう、有罪と思われた犯人の死後に無罪を証明する証拠が出てきてやはり無罪だったと思ったら実は本当に有罪だったと言う逆転の繰り返しがこの作品の一番の見所のはず。

なのにドラマ版では処刑された鼻つまみ者は普通に無罪で犯人は別にいた、あれ逆転はどこへ行った?逆転の繰り返しが一番の見所なのにそれを無くして普通の事件にしてしまったらサプライズも何もないだろう。実は犯人は気弱と思われた父親だった、いやそれでクリスティーのサプライズを超えられるとでも思ったのか?日本にも自分の思い込みでどうしようもない駄作にしてしまうバカな脚本家はいるが、本場のイギリスにもそんなバカがいるとは思わなかったわ。

そんなわけで、推理小説のドラマ化の代表的な失敗例のようなドラマでした。この調子だと次回の「ABC殺人事件」もあまり期待しない方が良いのか。
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